デンタルコラム-Column-

デンタルコラムvol.8「『噛む』ことによる健康」

2023.07.06 Thu.

みなさんは食事をするときに、しっかりと噛んで食べていますか?
普段の食事で意識することはあまりないですが、事実「噛むこと」は健康づくりの基本なのです。
今回のコラムでは「噛む」ことによって得られるさまざまな効果についてご紹介します。

1)胃腸のはたらきを助ける

唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれています。
きちんとよく噛むこと、アミラーゼと一緒に食べ物が噛み砕かれ、混ぜ合うことで体に吸収されやすくなります。
逆によく噛まないで食べてしまうと、その分を胃腸の中で消化しなくてはならなくなり、胃腸に負担がかかってしまい、胃もたれなどの不調が出てしまいます。
よく噛むことで胃腸への負担が減り、働きを活発に消化を助ける効果があります。
 

2)脳の機能を高める

「歯がない人はボケやすい」という話を聞いたことがあるでしょうか?
実は「噛む」ことと「認知症」にも深い関わりがあるのです。
 
歯の下には「歯根膜」というクッションのような働きをする器官があり、噛むことによって、その下にある血管が圧縮されます。
それにより血行が良くなり、栄養と酸素が十分に供給され、脳に血液を十分に送ることができます。
しかし歯がないと上手く噛むことができず、脳に送り込まれる血液が少なくなってしまいます。
すると脳への刺激が減ってしまい脳の機能は低下し、認知症になる確率が高くなってしまうのです。
 

3)虫歯・歯周病・口臭の予防

よく噛むと唾液の分泌が活発になり、虫歯や歯周病・口臭予防となります。
 

●虫歯

虫歯予防の第一歩は「噛む」ことです。
食べ物をよく噛むことで唾液の分泌が促進されるのですが、唾液には細菌を流し口の中をキレイにする自浄作用があります。
さらに、溶け出した歯を修復する再石灰化を助ける働きも持っています。
唾液の量が多い人ほど最近を流す力が強くなり、虫歯になりにくくなるのです。
 

●歯周病

歯周病とは細菌の感染によって歯を支える歯茎や骨が溶けてしまう病気です。
口の中が乾燥していると細菌が活発になるので、歯周病が悪化しやすくなります。
よく噛むことで唾液の分泌量が増え、歯周病予防に繋がります。
平均的な大人は1〜1.5リットルの唾液を分泌すると言われています。
 

●口臭

口臭があると自覚する人は80%を超えると言われていいます。
口臭は口の中に残った食べ物や剥がれ落ちた粘膜のカスといったタンパク質が、細菌により分解され発酵する過程で出るガスが主な原因です。
細菌は唾液が減ると増え、口臭も濃縮されて臭いがキツくなってしまいます。
朝起きた時や水分不足などで口が乾燥しているときに、口臭を感じやすいという方も多いのではないでしょうか?
また、緊張した時やストレスがある時も唾液の分泌が減ってしまうため、結果的に口臭が強くなると言われています。
 
 
 

🌟まとめ

日々の仕事や生活に追われてしまい、ゆっくりとした食事の時間を取ることができず、手短に済ませてしまことも多いでしょう。
「よく噛む」ということは「食事をゆっくり食べる」ということでもあります。
さらに早食いになってしまうと、脳の満腹中枢が働き始めると言われる20分以内に食べ終わってしまうので、つい食べすぎてしまうことになります。
 
また、現代の食事は昔よりも柔らかい食べ物が多く、あまり噛まず食べることができるものが増えています。
例えば、カレーなどスープなどは、飲み込んでしまえばほぼ噛まずに食べられます。
そのような時は「野菜を大きめに切る」や「白米に大麦を混ぜる」などできるだけ噛みごたえのある食材などを合わせて食べるようにしましょう。
 
「噛む」ということは私たちの健康において、とても嬉しい作用をもたらせてくれます。
もし、この記事を読んで「そういえばよく噛んで食べていなかった」と思う方がいても、今からでも遅くはありません。
毎回の食事で「よく噛んで食べる」ことを意識するだけでも違うので、ぜひ試してみてくださいね。