デンタルコラム-Column-
デンタルコラムvol.11 虫歯をふせぐ「フッ素」
2023.09.26 Tue.
フッ素には虫歯の予防効果があるということをご存知の方も多いのではないでしょうか?最近では子供の虫歯予防のために定期検診でフッ素を塗布している自治体も増えてきました。なんとなく「虫歯を防いでくれる」というイメージはあるのですが、具体的にはどのような虫歯予防効果があるのでしょうか?
今回のコラムではフッ素の効果について詳しくご紹介いたします!
🌟フッ素の虫歯を予防する3つの働き
1)再石灰化の促進
歯にとってエナメル質の成分である「カルシウム」と「リン酸」はとても大事な成分です。フッ素が口内にあると、唾液中のカルシウムとリン酸が歯に取り込まれやすくなり、溶けた歯質が修復されます。このことを「再石灰化」といいます。この作用により、初期の虫歯はフッ素で改善することがあります。
2)歯の質の強化
歯のエナメル質はハイドロキシアパタイトと呼ばれる結晶によってできています。これはとても酸に弱く壊れやすいのですが、フッ素が入ることによってフルオロアパタイトになり、酸に溶けにくい性質に変わります。そのためエナメル質が強くなり、虫歯菌への抵抗性が高まります。
3)抗菌・抗酵素作用
プラークの中に潜む虫歯は酵素を生み出し、この酵素が原因で酸が作られ歯が溶かされてしまいます。フッ素には細菌の働きを弱める効果があり、虫歯菌の出す酵素によって酸がつくられるのを防ぐことができます。
🌟フッ素の効果的な3つの活用方法
それでは、フッ素はどのように活用したら良いのでしょうか?
代表的な3つの活用方法をご紹介します。
【1】フッ素塗布
フッ素塗布の効果は約3ヶ月持続すると言われています。大人も子供も年齢を問わずに受けることができるのですが、生えたばかりの乳歯や永久歯の生え初めに年3〜4回程度塗布を繰り返すことで高い虫歯予防効果を得ることができます。
歯科医院では高濃度のフッ素を直接塗布します。塗布30分後程度はうがいや飲食は控えましょう。
また最近では、自宅で塗布する用のジェルなども販売していますが、注意事項をよく読んだ上で使用してください。
【2】フッ素洗口
フッ素洗口は比較的濃度の低いフッ素液で約1分間ブクブクうがいすることで、歯ブラシでは届きにくいところまで成分が行き渡ります。フッ素洗口は永久歯が生える前の4〜5歳から始め、永久歯が生えそろう中学卒業ぐらいまで続けることがおすすめです。 うがい後は30分程度飲食を避けたいので、就寝前の歯磨きの時に利用すると良いでしょう。
【3】フッ素入り歯磨き粉
フッ素入り歯磨き粉は通常の歯磨き粉と同じように歯ブラシにつけて使用します。歯磨き粉に含まれているフッ素濃度は商品によって異なります。
現在フッ素化合物の上限は1500ppmと決まっていて、できるだけ高濃度の歯磨き粉の方がより効果を期待できます。
購入される際は、フッ素濃度をチェックするようにしてください。
🌟フッ素の危険性は?
フッ素は虫歯予防に有効ですが、フッ素化合物の過剰摂取は急性中毒やフッ素症を引き起こす可能性があります。
ではどのくらい摂取すると人体へ悪影響が現れるのでしょうか?
フッ素化合物の急性中毒量の目安は5mg/kgです。これは15キロの子どもが歯磨き粉を一本飲み干すと急性中毒が起こる計算です。
一般的に幼児が歯磨きをした時、0.04〜0.06mg口腔内にフッ素化合物が残ると言われています。1日3回フッ素化合物配合の歯磨き粉を使用しても0.12〜0.18mgなので、通常使う分には危険性はありません。
小さい子ども用の歯磨きには味付きのものがあります。万が一、間違えて飲んでしまわないように手が届かないところに置いておくようにしましょう。
🌟まとめ
いかがでしたでしょうか?
フッ素の使用は歯の再石灰化の促進や歯質の強化や抗菌・抗酵素作用など虫歯に強い歯を作るためにとても効果的な方法です。
ですが、フッ素に頼りすぎるのではなく毎日の歯磨きケアが重要です。
特に子どもの歯は大人の歯と比べて柔らかく、虫歯になりやすい傾向があります。また、歯磨きも自分できちんとする事が難しく、大人のケアが欠かせません。
また、初期の虫歯が修復されるまで半年から〜1年程度かかると言われています。自分では初期の虫歯は見つけにくいので、うっかり見逃してしまうと虫歯が進行してしまう可能性もあります。
しっかりと歯科医院で定期的にチェックするようにしましょう。
ぜひ、フッ素の力をうまく活用しつつ、虫歯のない健康な歯を目指してくださいね。